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書評 継続するコツ 坂口恭平

本の紹介

 著者は作家、画家、音楽家、建築家など、さまざまな活動をされています。また、「いのっちの電話」として自身の携帯番号を公表し、2012年から現在に至るまで、年間およそ1万人を超える「死にたい人」たちの声を聞き続けているそうです。

 この本は、坂口さんが目の前にいて、だーっと思ったことをよどみなく語っているような文章で書かれています。好きなことを継続すること、それ自体が幸福なのだと言われると、確かにそうだなと感じました。本が売れることや成功、人の評価なんてどうでもよくて、ただただ好きなことを継続していきたいんだ!なぜみんなそうしないの?とストレートな主張が気持ちいいです。

この本を読んだ理由

 著者の本「苦しい時は電話して」を読んだことがあり、「いのっちの電話」の活動をされている坂口さんを、本当にすごい人だなと思っていました。こんな人が一人世の中にいて、本当に心が苦しい時に電話できる人がいる、って思えるだけでも、なんだか少し安心感が生まれるような気がしました。その著者の書いた本だし、継続のコツ、知りたい…と思い手に取りました。

心に残った文 引用

 僕は無能です。よく知っています。謙遜では全くありません。その証拠に毎日、馬鹿みたいに練習しています。毎日10枚書き続けている人を、僕はほとんど知らないくらいです。むしろ僕は、無能であることを自慢しちゃってます。無能であるからこそ、毎日とにかく努力をしようと思えるのです。努力をしない人は、おそらく自分のことを能力がある人と思っているのです。才能がないから、と何かを諦めた人は、才能がないから諦めたわけじゃないんです。その逆なんです。私は才能があって当然なのに、何かを作ってみたけど結果として形になったものは酷い有様で、こんなのは才能がある私が作ったものとは思えない。そのギャップに苦しんでしまって、ついには諦めてしまうのです。(にゃー!)(p.81~82)

 これは修行ではあるんですが、一番楽な体調の時に、一番ストレスがかからない「書く」というやりたいことをさせているってのがポイントですね。そうしないと修行も続きません。修業は楽しくないと続きません。楽しくない修行なんて、修行ではありません。だって続きませんから。修業ってのは1日では不可能です。1000日必要です。10000日必要です。そのためにも修業は世界で一番、人生で一番負荷がかからないことでないと続きません。というか、そんな楽な修行なら馬鹿でも続けられるのです。(p.92)

感想

  昔やっていた好きなこと、いろいろ思い出しました。才能がないから、お金にならないから…と言い訳をして好きなことをしなくなり、逆に好きではないことは継続していました。言われてみればおかしなことなのに、自分が本当に追いつめられてやっと気づいたり、それでも気づけなかったりするんだなって思いました。好きなことの継続こそが幸福…。シンプルで、生きる気力が湧いてくる本でした。

まとめ

 言われてみればそうなんだけど、時により実行できないなあと思っていることがあります。「腹八分目」とか「人によって態度を変えない」とかがあるのですが、「好きなことをやろう」もその一つでした。そもそも好きなことって、なんだっけという状態にあるからです。一つのことに何年も取り組んで、活躍している人を見ると、つい「いいなあ、才能があって」とか「好きなことに打ち込めていいなあ」と言ってしまいがちでした。

 この本で、「才能がないとやっちゃいけないの?」と小さな子どもに聞かれたような気持ちがしました。本当に、なんで私、今好きなことやってないの?って…

 生活のためとか人それぞれの事情はあるのですが、好きなことをせず、嫌なことだけをひたすらやっていて、そのせいで心や体を壊してしまうのは悲しいことだよな、と思いました。この本で坂口さんがたくさん語ってくれた、継続と幸福のコツを、少しずつ取り入れていきます。

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